税率に惑わされるな
「税率に惑わされるな」
【闘う商売人税理士森田茂伸のもりもりわかる税の話(NBCラジオ)】2015年09月15日公開分
「税率に惑わされるな」
サラリーマンの方は皆さんそうだと思いますが、給料から税金が直接差し引かれているため、自分がどれくらい税金を納めているのかを意識していない方が多いんです。
一方で、個人事業主や会社の場合は、稼いだ後に税金を支払うため、皆さん税金に対する意識が高くなります。会社の社長さんなども、お給料をもらったときに「いくらくらい税金を取られるのだろう」と強く意識します。その結果、税負担を重く感じるわけです。
ただし、ここで間違ってはいけないのは、「税率」に惑わされるのではなく、「税負担割合」を意識してほしいということです。
よく言われる話ですが、「お給料をたくさんもらうと、半分は税金で持っていかれる」といったことがあります。たしかに、法人税はだいたい24%ほどですが、所得税は最高で55%まで課税されるようになっています(2015年09月15日現在)。つまり、法人税よりも所得税の方が税率は高いということです。
そのため、「役員報酬を多く取ると、半分は税金で持っていかれる」という話が出てくるわけですが、これはあくまでも「税率」の話です。本来は「税負担割合」で考えるべきなのです。
「税負担割合」とは何か?
では、「税負担割合」とは何か?
これは、得た所得に対して、どれくらいの割合で税金を実際に負担しているかということです。
たとえば、会社で2400万円の所得を出し、法人税を支払う場合と、個人が2400万円の給料をもらって所得税を支払う場合、実は負担割合にほとんど差はありません。
したがって、所得が2400万円より少ない場合は、個人で支払った方が税負担が軽くなります。逆に、所得がそれ以上であれば、会社で支払った方が有利になります。
よく「給料の半分が税金で持っていかれる」と言いますが、これは年収1億1470万円を超えた場合に初めて発生する話です。そこまでの収入がある方は非常に限られていると思います。
ですから、本当に大事なのは、「税率」で考えることではなく、「税負担」、すなわち「どのような形で税金を払えば負担が少なく済むのか」、そして「いくら手元に残るのか」を意識していただきたいのです。
※この情報は2015年09月15日時点でのものです。