節税は目的にあらず、手段に過ぎない!

節税は目的にあらず、手段に過ぎない!

【闘う商売人税理士森田茂伸のもりもりわかる税の話(NBCラジオ)】2022年04月04日公開分

節税はあくまで「目的」ではなく「手段」である

節税とは、税金を減らす行為であり、その言葉の響きだけを捉えると「税金を少なくすればそれで良い」と思いがちです。しかし、節税そのものを目的にしてしまうと、本来あるべき経営判断を見誤る恐れがあります。たとえば、税金を減らすために無理に支出を増やしたり、本来必要のないものを購入した場合、確かに経費として処理はされるかもしれませんが、手元のお金は確実に減っていきます。これでは、節税はできても経営にとってはマイナスです。商売の本質は「儲けること」にあり、儲けとは単に利益を出すだけでなく、最終的に会社や個人の手元にお金が残っている状態を指します。つまり、節税とは「お金を残すための一手段」であり、それを目的にしてしまうと本末転倒になってしまうのです。

節税の本質は「お金を残す」ことにある

本当に意味のある節税とは、税金を減らした結果として、最終的に手元にお金が残る状態を作ることです。そのためには、お金の使い方を慎重に選ぶ必要があります。たとえば、会社から出ていくお金であっても、社長個人に給与として支払われ、それが貯蓄として残されていれば、資金は社内に留まっているのと同じような効果を持ちます。また、生命保険のように一度は支出が発生するものの、解約返戻金として将来的にお金が戻ってくる商品もあります。さらに、設備投資のように将来的な売上や利益に繋がる支出であれば、結果としてお金が戻ってくる可能性も高いのです。このように、「お金が出て行かないもの」「出ても戻ってくるもの」「将来的に利益を生むもの」にお金を使うことで、本来の意味での節税が可能になります。ただ単に経費を増やして税金を減らすのではなく、将来を見据えてお金を残すという視点こそが、正しい節税の在り方だと言えるでしょう。

Posted by harukayokoyama