赤字・黒字に踊らされるな!
赤字・黒字に踊らされるな!
【闘う商売人税理士森田茂伸のもりもりわかる税の話(NBCラジオ)】2021年03月01日公開分
黒字に安心するな、資金が回らなければ意味がない
企業経営において「黒字=安心」と思われがちですが、それは大きな誤解です。いくら会計上の利益、つまり黒字が出ていたとしても、実際に手元にお金がなければ企業は倒産してしまいます。資金は人間の身体における「血液」と同じで、これがうまく循環していなければ、どれだけ健康そうに見えても内側から崩れていくものです。逆に、会計上は赤字でも、手元に潤沢な資金があれば企業は倒産しません。つまり、企業の存続にとって本当に重要なのは「利益」ではなく「資金の流れ」なのです。日々の経営判断において、数字の上の黒字に一喜一憂するのではなく、常に資金の流れとその余裕を見ながら進めていくことが求められます。
儲かるとは「利益」+「お金の循環」があって初めて成立する
本当に儲かったと言える状態とは、単に利益が出て黒字になったことではありません。その利益に見合うだけの現金が手元に残って、初めて「儲かった」と言えるのです。資金が残らない黒字は、経営がうまくいっていない証拠とも言えるでしょう。そして、その残ったお金をお客様に還元し、またそのお客様が戻ってきてくれるという「お金のキャッチボール」が生まれることで、ビジネスは健全に循環していきます。一度きりの取引で終わる「一見さん」を、信頼を積み重ねて「ファン」に育て、最終的には「常連さん=信者」へと繋げていく。この「信者」とは、まさに「にんべん」に「言」と「者」と書いて「儲かる」という字になることを思い出させてくれます。つまり、信頼とお金の循環を生み出してこそ、本当の意味での「儲け」が成立するのです。